老後の資金づくりのために、「資産形成」や「資産運用」に興味を持つ人が増えています。
「資産形成」や「資産運用」どちらも、将来の蓄えをするために有効な方法です。
しかし、両者は似たような意味として使われることが多くあり、実はそれぞれの定義はまったく異なるのです。
これから資産を構築するためには、資産形成と資産運用の違いを、正しく理解しておかなければなりません。
なぜなら、定義が異なると目的や目標とすべき資金額が、それぞれ違うからです。
ここでは、資産形成と資産運用の違いついて解説しながら、具体的な方法を紹介します。
資産形成・資産運用の違いとは
上述のとおり、資産形成と資産運用はよく似ている言葉ですが、意味は異なります。
以下では、資産形成と資産運用、それぞれの違いについて解説します。
資産形成・資産運用の基礎知識
資産形成とは、資産がない状態で、一から資産を構築していくことを意味します。
資産形成のやり方として、給与所得・事業所得を貯蓄していくのが代表的です。
一方、資産運用は、一定額の資産を投資によって増やしていくことです。
資産運用には、株式や債券、FXなどの金融商品、不動産への投資が挙げられます。
投資先によって、リスク・リターンが変動します。
たとえば、安定性の高い投資商品の代表格は、金や銀です。
仮想通貨・暗号通貨は、価格変動が大きいことで知られています。
資産形成・資産運用をした方がよい理由
資産形成・資産運用をした方がよい理由は、自分自身の将来に備えるためです。
今家族がいる人は、今後、子どもの進学などでまとまった資金が必要になります。
また、老後の生活費も準備しておかなければなりません。
このような、お金にまつわる問題を解決するのが、資産形成と資産運用です。
現金を保有するだけでは十分ではない
資産形成だけでも、資産を構築することはできますが、現金を保有するだけでは、将来の蓄えとして十分ではありません。
なぜなら、物価が上昇するインフレになれば、現金の価値が下がってしまう恐れがあるからです。
預貯金があったとしても、その価値は目減りします。
自分のお金を守るためには、現金以外の資産を構築するという考え方が重要です。
資産運用をすることで、老後への対策が万全になります。
老後生活に対する不安の有無
ここで、老後生活に対する不安の有無について、生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」結果を見てみましょう。
不安感の有無の数字は以下のとおりです。
- 非常に不安を感じる:19.0%
- 不安を感じる:30.4%
- 少し不安を感じる:35.0%
- 不安感なし:13.2%
- わからない:2.4%
出典:公益財団法人生命文化センター
以上から、「不安感あり」(非常に不安を感じる・不安を感じる・少し不安を感じる)の回答は84.4%にのぼっています。
対して、「不安感なし」は13.2%です。
つまり、全体の8割以上の人が老後生活に対する不安を抱えている結果となっています。
さらに、「不安感あり」とした人の具体的な老後生活に対する不安の内容についても述べられています。
「不安の内容」については、以下のようになっています。
- 公的年金だけでは不十分:82.8%
- 日常生活に支障が出る:57.4%
- 退職金や企業年金だけでは不十分:38.8%
- 自主努力による準備が不足する:38.5%
- 仕事が確保できない:31.6%
- 配偶者に先立たれ経済的に苦しくなる:21.9%
- 貯蓄等の準備資金が目減りする:16.0%
- 子どもからの援助が期待できない:13.8%
- 利息・配当収入が期待どおりにならない:11.5%
- 住居が確保できない:5.4%
- その他:0.7%
- わからない:0.3%
出典:公益財団法人生命文化センター
(参照:公益財団法人生命文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」(速報版))
以上の結果を見ると、不安感の多くはお金と健康面の問題にあることがわかります。
中でも「公的年金だけでは不十分」は、調査の度に突出している不安要素です。
老後を迎えてから対策をしていては間に合いません。
日常生活に支障が出ない年齢、つまり現役時代のうちに、お金に関する悩みは取り除いておきたいところです。
そのためには、早い段階で資産形成・資産運用を始めることを視野に入れておきましょう。

まずは、『100歳までの年収表』を作ってみることをおすすめします。働けなくなってからの収入源は、今すぐから計画しておきましょう。
資産形成・資産運用で目指すべき金額について
資産形成・資産運用といっても、実際にどのくらいの金額を目標に行えばよいのか見当がつきません。
以下では、老後の生活費のために、準備しておきたい資産額について説明します。
平均的な年金・退職金の受給額
前出の「老後生活に対する不安内容」の調査結果では「公的年金だけでは不十分」「退職金や企業年金だけでは不十分」が経済的な不安内容の上位にあがりました。
では、どの程度、不十分であるかを見ていきましょう。
国民年金受給月額
まず、年金・退職金の平均的な受給額について確認をします。
国民年金と厚生年金による平均的な受給月額は、以下のとおりです。
出典:厚生労働省
- 平均年金月額(老齢基礎年金):5万5,946円
- 男女別-男性:58,866円・女性:5万3,699円
厚生年金受給月額
続いて、厚生年金受給月額について見ていきましょう。
国民年金の平均月額です。
出典:厚生労働省
- 平均年金月額:14万4,268円
- 男女別ー男性:16万4,770円・女性:10万3,159円
(参照:厚生労働省・令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)
退職金
次いで、退職金について紹介します。
勤続20年以上かつ、45歳以上の定年退職者の退職金給付額学歴別は以下のとおりです。
出典:厚生労働省
- 大学卒(管理・事務・技術職):2,280万円(月収換算42.7月分)
- 高校卒(管理・事務・技術職):1,970万円(月収換算44.6月分)
- 高校卒(現業職):1,493万円(月収換算44.9月分)
- 中学卒(現業職):1,350万円(月収換算42.6月分)
(参照:厚生労働省・第24表退職者のいた企業数割合、退職事由別退職者数割合)
退職金は、勤続年数や学歴によって変動します。
いずれにしても、年金・退職金の受給額の現状をみて、不安を抱く人が多いということです。
人生100年時代を見据えた目標を立てる
平均的な年金・退職金について述べましたが、個人によって経済事情は異なります。
退職金制度がない企業も少なくありません。
受給予定の年金・退職金から、老後の生活費を差し引くことで、準備すべき資産額がわかります。
家計調査年報(家計収支編)では、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の消費支出は、13万9,739円だと公表されています。
(参照:総務省統計局・家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支)
たとえば、厚生年金保険加入者で女性の場合、受給額は10万3,159円です。
差し引くと、毎月3万6580円の赤字になることがわかります。
この情報を参考に、女性ひとり暮らしの場合、準備すべき資金がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。
- 【60歳~65歳まで】
(年金が受給できない期間)13万9,739円(生活費)×12か月×5年間=838万4340円 - 【65歳~87歳まで】
(女性の平均寿命である87.45歳を想定)3万6580円(赤字分)×12か月×22年分=965万7120円
両者を合計すると、1,804万1,460円です。
これが、資産形成・資産運用で目指すべき金額の目安となります。
しかし、近年では「人生100年時代」といわれています。
シミュレーション額よりも、余裕を持って老後資金を準備しておかなければ、年々不足していくことになります。
目標金額から、現在の資産額を差し引くことで、目指す数字が見えてきます。
経済的な不安を払拭するためには、まずシミュレーションをして現状を把握することが重要です。
資産を増やす方法について学ぶ
ここでは、資産形成・資産運用について、具体的な方法を解説します。
知っておくべき資産形成の基本
資産がない場合は、増やしていくことを考えなければなりません。
資産形成の基本は、長期的にコツコツを積み立てていくことです。
そのために、安定的で確実に増やせる方法を選びましょう。
さらに、資産を増やすだけではなく、支出を減らすことによって、資産形成が行いやすくなります。
具体的な方法は、以下に挙げる項目になります。
- 生活費の見直し
- 副業・副収入を得る
- 普通預金・定期預金
- 給与の高い企業への転職
- インデックスファンドに長期積立投資
インデックスファンドとは、日経平均株価(日経225)やTOPIX(東証株価指数)などの指標に連動した運用を目指す投資信託のことで、投資初心者からも人気の商品がそろっています。
資産運用の成功には専門家からの助言が不可欠
資産運用は、独学ではなく、専門家からのアドバイスを受けることで成功しやすくなります。
投資の方法を、一から勉強することができるからです。
たとえば、投資において、「卵は1つのカゴに盛るな」という教えがあります。
複数の卵を1つのカゴに盛っていた場合、落としてしまうとすべての卵が割れてしまいます。
しかし、いくつかのカゴに分けて盛ることで、 すべての卵を一度に割ってしまうことは避けられます。
これは、リスクと上手く付き合うための知恵です。
資産運用では、「分散型」がよいといわれています。分散型とは、投資先や投資時期などを分散させる手法です。
1つの金融資産に集中投資せず、さまざまな種類に分散して投資すればリスクが分散され、安定度も増します。

たとえば、ハイリスク・ハイリターンの商品だけを分散して購入した場合、分散の意味がなくなります。リスクの少ない商品とリスクの多少ある商品を組み合わせるようにしましょう。
欧米諸国の人たちは、複数の収入源を持つことを当然のように考えています。
資産運用に関する教育を受けており、不労所得における知識や経験も豊富です。
しかし、日本では海外ほど、お金の知識を学べる環境や機会がありません。
投資ではなく、労働収入中心の働き方をしています。
これは老後の人生計画を、身体が健康で体力があるということが前提で考えているためです。
しかし、健康状態を維持するのは難しく、老後の生活が厳しくなることが多いのです。
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これから資産形成・資産運用を始めるために
資産形成は一から資産を構築していくことで、資産運用は資産を投資して増やしていくことを意味します。
老後資金として、公的年金だけでは不足する可能性を考えると、資産形成・資産運用を行うことは欠かせないでしょう。
しかし、資産づくりは簡単なことではありません。
とくに分散型の投資は、リスクが発生するため、専門家の助言が不可欠です。
いつまでも現役で労働収入を得ることはできません。不労所得があることで、安心して老後を迎えることができます。
人生計画を立てて、老後対策を実施していきましょう。
この記事を監修したライフプランアドバイザー | |
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■佐藤 伸次 ■合同社長のミカタ代表社員 ■健康ファーム代表 ■1966年長野県飯田市生まれ ■ライフプランアカデミー・未来のミカタ講師 |
世界金融の現状を学び、家計の見直し・資産運用などの経済知識を元に、複数収入の構築プロデュースを手掛けている。リタイアメント層サービス・デジタル資産業種・海外保険情報提供など、日々提案できる経済関連情報の枠を拡げている。全国で金融リテラシ―について経済とお金の勉強会を行う傍ら、人生初となる学生のキャリア教育本を出版。 |