老後に必要なお金はいくら?ゆとりある生活のために準備したいこと

人生100年といわれるようになった昨今、老後の生活のことを考えて「必要なお金はいくらだろうか」と不安になる人は少なくありません。

 

老後に不安を感じる理由は、現役時代と比べて思うように働けなくなるうえに、どのくらいの生活費が必要になるのかがわからないことが原因です。

「年金や退職金で足りるのか」と、心配になる人もいるでしょう。

 

老後の暮らしを安心して送るためには、将来的に必要となる資金について知っておく必要があります。

定年退職後、生きていくための知識を身につけることで、今から準備すべきことが明確になります。

 

ここでは、老後に必要なお金について、最低限の生活資金とゆとりある生活を送るための目安額を解説します。

また、老後に安心できる資金の貯め方についても紹介します。

 

老後に必要なお金の目安

老後に不安を感じるのは、前述のとおり「どのくらいの生活費が必要になるのかわからない」ところにあります。

老後に必要なお金は少なくともいくらあればよいのか、目安について知るために、老後資金の基本的な知識について説明します。

 

老後資金とは

老後資金とは、文字通り、老後に必要なお金のことです。

日々の生活費や家賃、光熱費、医療費、趣味・娯楽のための費用、介護費用、葬儀代などを含みます。

 

定年退職をした後、生活には公的年金と預貯金を老後資金として使うのが一般的です。

毎月の生活費が年金などの収入や貯蓄を上回る場合は、働きながら不足分を補う必要が出てきます。

老後資金をグラフにした説明図

しかし、万が一健康状態が悪くなれば、労働収入を得ることは簡単ではなくなります。

このような事態に備えるためにも、どのくらいの老後資金がかかるのを現役時代から知っておくことが大事です。

ゆとりある老後生活を送るためには、40代・50代から老後資金の確保に努めることで、将来の不安が解消されます。

 

老後を送るために必要となる資金額

老後資金の大半は、日常的にかかる費用です。

老後生活にかかる最低限の生活費について、夫婦・独身のケースをそれぞれ解説します。

 

総務省統計局のデータ『家計調査報告』によると、最低限の月の生活費は、 以下のように報告されています。

月の生活費

【夫婦の場合】
約27万5000円

【独身の場合】
約13万3000円

(参照:総務省・家計調査報告 ―月・四半期・年― )

 

上記の数値は、あくまでも目安であるため、世帯によって差は生じます。

例として、住居が賃貸住宅か持ち家かによっても、費用は変動します。

 

老後を楽しくゆとりある暮らしを送るためには、最低限の生活費に加えてある程度の余裕金が必要になります。

また、実際に必要となる金額には個人差があります。

 

旅行や趣味、人づきあいなど、どのような消費行動にお金を使いたいのかをあらかじめ見積もっておき、毎月の支出額を想定しておきましょう。

たとえば、「半年に1度は、海外旅行に行きたい」「毎年季節ごとに、洋服を新調したい」など、自身の心が満たされる行動に対して必要な費用です。

 

あなたらな第二の人生を充実させるために、なにに時間とお金を費やしたいでしょうか。

一度、人生の計画を立てて、毎月・毎年の予算を書き出してみましょう。

 

ゆたかな老後生活をおくるための金額を算出

自分に必要なおおよその生活費がイメージできたら、実際に準備しなければならない金額を算出が必要です。

 

女性の生き方をサポートする『ライフプランアカデミー・未来のミカタ』では、『人生100年企画ワーク』を行っています。

 

100年企画シートのイメージ画像

 

『人生100年企画ワーク』では、下記の内容をヒアリングさせていただき、これから生涯をとおして必要になる生活費と貯金額を算出します。

 

人生100年企画ワーク・項目
  • 現在の年齢
  • 人生何歳と考えているか
  • リタイア予定の年齢
  • 毎月いくらあればゆとりある生活ができか
  • 毎月の年金金額
  • 退職金の予定額

 

『人生100年企画ワーク』を行うことで、あなたの老後の生活に必要な金額がわかります。

ワークを一緒に行い、老後の生活費から年金、預貯金を引くと、いくら不足するのかを説明します。

 

老後の不安を解消するためにも、実際にご自身に当てはめて、シミュレーションしてみることが大事です。

事前にご予約いただければ、担当者が対応いたします。お気軽にお問い合わせください。

【ライフプランアカデミー・未来のミカタ】お問い合わせフォーム

 

公的年金で受給できる金額

公的年金制度には、厚生年金と国民年金があります。

厚生年金は、契約条件によって受給額が変動します。

国民年金は、加入期間によって異なりますが、1年間で受け取れる満額は77万9,300円までです。

厚生労働省の調査によると月額、厚生年金保険は14万5,865円、国民年金は5万5,809円が平均額であると報告されています。

 

厚生年金保険月額の推移画像

国民年金月額の推移画像出典:厚生労働省・平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

 

世帯別に見れば、高齢無職世帯の年金収入が高齢夫婦世帯21万6,910円、高齢単身世帯が11万5,558円です。

高齢夫婦世帯とは、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯、高齢単身世帯とは60歳以上の単身無職世帯を指します。

(参照:厚生労働省・平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)

 

最低限の生活費から、年金受給額を差し引いてみましょう。

生活費から年金受給を差し引いた額

【夫婦のみの無職世帯】
(生活費)27万5000円-(年金受給額)21万6,910円=58,090円が不足 

【高齢単身世帯】
(生活費)13万3000円-(年金受給額)11万5,558円=17,442円が不足

 

どちらの世帯も年金だけでは、毎月の生活費が不足することがわかります。一例として、65歳から90歳まで、25年間の不足額を算出してみます。

25年間の生活費不足額

【夫婦のみの無職世帯】
58,090円×12か月×30年=20,912,400円

【高齢単身世帯】
17,442円×12か月×30年=6,279,120円

 

単純計算をすると、夫婦では約2,000万円、独身者は600万円が足りないことが明らかになります。

この不足分は、預貯金で補う必要があります。

 

以下では、60歳の平均的な預貯金はどのくらいあるのかを見ていきましょう。

 

60代の平均的な貯蓄額について

金融広報中央委員会の調査によると、60代の平均貯蓄額は、二人以上の世帯で1,745万円、単身世帯で1,305万円であると公表されています。

ここで目を向けておきたいのは、平均値だけではなく中央値です。

 

平均値はデータを合計して、データの個数で割った値ですが、中央値は、データの真ん中に来る値です。

現実を見るためには、中央値が参考になります。

貯蓄額の平均値と中央値説明図

貯蓄額の中央値は、二人以上の世帯で875万円、単身世帯で300万円です。

このなかには、金融資産を保有していない世帯も含まれています。

その割合は二人以上世帯で18.3%、単身世帯では29.4%です。

 

金融資産を保有しているかどうかは、非常に重要な点です。

なぜなら、金融資産の有無によって、老後の資金力に差がつくからです。

 

単身者世帯のケースで確認してみましょう。

全年代における単身者世帯の平均貯蓄額は、653万円、中央値は50万円です。

金融資産の保有額画像出典:「家計の金融行動に関する世論調査」[単身世帯調査] (2020年)

 

金融資産を保有していると回答した人の平均貯蓄額は1,044万円、中央値は300万円となっています。

(参照:金融広報中央委員会・家計と金融行動に関する世論調査(令和2年))

 

調査からわかることは、年金と預貯金だけでは、ゆとりのある生活はもちろん、最低限の生活も難しい家計が多いことです。

しかし、資産運用をすることで、将来への不安を減らすことができます。

いかに金融資産を構築していくのか、具体的な方法を取り上げます。

 

老後に安心できる資金の貯め方

資産運用の方法は、多岐にわたります。

高度な金融知識が求められ、リスクが高いものも少なくありません。

ここでは、初心者からでも始められる方法を紹介します。

 

3つの財形貯蓄制度を利用する

1つは、財形貯蓄制度です。

財形貯蓄制度とは、会社員の資産づくりを支援するために、勤務先の給与から毎月一定金額を天引きして貯蓄をする制度のことです。

 

財形貯蓄制度には、3つの種類があります。

財形貯蓄制度・3つの種類
  • 一般財形貯蓄:とくに目的を限定しない財形貯蓄
  • 財形住宅貯蓄:住宅購入やリフォーム費用を用意するための財形貯蓄
  • 財形給付金制度/財形基金制度:60歳以降の年金受給を目的としている財形貯蓄

 

付金制度は、一定額までが非課税対象となります。

3つの財形貯蓄は、併用することが可能です。

 

預貯金が苦手な人にとっては、毎月の給与から天引きされる点がメリットです。

続けられるか心配な人は、小額から始めることをおすすめします。

慣れれば、徐々に増やしていくことで無理なく資産づくりができます。

 

資金を貯める前に知識を高める

貯蓄によって資産が形成できれば、金融商品への投資を検討してみることもひとつの方法です。

近年、人気を集めている金融商品として、『iDeCo(個人型確定拠出年金)』『つみたてNISA』『低解約返戻金型終身保険』『外貨建て保険』があります。

 

それぞれの違いは、以下のとおりです。

金融商品の違い
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):公的年金に加えて、給付を受けられる私的な年金
  • つみたてNISA:長期・積立・分散投資を後押しするための税制優遇制度
  • 低解約返戻金型終身保険:普通の終身保険よりも保険料が低く、貯蓄性が高い終身保険
  • 外貨建て保険:ドルやユーロなどの外貨で保険料を支払い、外貨で保険金や年金、解約返戻金を受け取る保険商品

 

このように複数の種類がありますが、どの金融商品であっても投資は貯蓄とは異なり、リスクをともなうことを念頭に置いておきましょう。

これらの投資を始める前には、投資に関する知識や金融リテラシーについて、学んでおかなければなりません。

自己流で取り組んでは決してうまくはいきません。

 

たとえば、「投資」と「投機」、「資産形成」と「資産運用」という用語があります。

よく似ている言葉ですが、それぞれに意味が違います。

「投資」は長期的な視点で資本を投下して、配当金や株主優待を得る一方で、「投機」は短期的な価格変動を狙って、資金を投じる(スイングトレードやデイトレード、スキャルピングと呼ばれます)ことによって、利ざやを得ます。

※利ざやとは:借りたお金の金利よりも高い金利で貸し出した場合に得ることのできる利益のこと。
銀行においては、その収入源のひとつとなる。証券取引においては売値と買値の差額によって生じる利益のことを利ざやという。

金融商品のことや家計の見直しについて理解を深めるためには、専門家から学ぶことやアドバイスをしてもらうことが解決策への近道です。

資産形成・資産運用の具体的な違いについては、『「資産形成」と「資産運用」の違いは?目的・必要性について学ぶ』の記事でわかりやすく解説しています。あわせてご覧ください。

 

老後の資金づくりにおける鉄則

老後に必要なお金として、最低限の生活を送るには、夫婦で約27万5000円、独身で約13万3,000円がかかります。

年金で不足する金額分は、事前に備えておかなければなりません。

 

老後の資金づくりは、金融に関する知識を学んでから始めるのが鉄則です。

ゆとりある暮らしを実現したい人は、第二の人生を充実させるための計画を立てるところから始めましょう。

目標が明確になることで、最適な資産形成・資産運用の選択ができます。

 

 

この記事を監修したライフプランアドバイザー
■佐藤 伸次
■合同社長のミカタ代表社員
■健康ファーム代表
■1966年長野県飯田市生まれ
■ライフプランアカデミー・未来のミカタ講師
世界金融の現状を学び、家計の見直し・資産運用などの経済知識を元に、複数収入の構築プロデュースを手掛けている。リタイアメント層サービス・デジタル資産業種・海外保険情報提供など、日々提案できる経済関連情報の枠を拡げている。全国で金融リテラシ―について経済とお金の勉強会を行う傍ら、人生初となる学生のキャリア教育本を出版。

佐藤伸次  LINE Official Account

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